テクニカル分析とファンダメンタル分析。その違いについて解説。
テクニカル分析とファンダメンタル分析、どちらもよく聞く言葉ですが、それぞれどのような分析をいうのでしょうか。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析とは、過去の株価の値動きなどに注目して今後の株価を予測する分析方法をいいます。
チャートの形や取引高のようなデータから、今後の値動きを予想していきます。いわゆるデイトレーダーはテクニカル分析をしていることになります。
また、最近では、コンピュータを使ったテクニカル分析も登場しています。いわゆる人工知能に過去のデータを読み込ませて、今後の株価を予測させる方法です。
ファンダメンタル分析とは
ファンダメンタル分析とは、過去の値動きではなく、財務諸表、健全性、経営、競争優位性、競合相手、市場などの会社の経営状態を分析することをいいます。
バリュー投資は、会社の経営状態を分析するものなので、ファンダメンタル分析です。バリュー投資についての詳細は下の記事を参考にしてください。
どちらを重視すべきか
長期で株を保有したい場合には、ファンダメンタル分析を重視するべきでしょう。なぜなら、株価は、過去の株価の動きではなくて、会社の業績に基づいて変動するからです。そして、将来の会社の業績はテクニカル分析ではなくファンダメンタル分析によってしか行うことができないからです。
一方で、デイトレーダーになりたい場合はテクニカル分析を行うしかないでしょう。ファンダメンタル分析でよいと分かった企業も短期的には株価が下がることがよくあるからです。
減価償却とは?土地と建物では扱いが違う?具体例でわかりやすく解説!
減価償却という言葉は聞いたことがあると思いますが、減価償却とはいったいなんでしょうか。今回は減価償却について解説したいと思います。
減価償却とは
減価償却とは、「長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続き」(
減価償却 - Wikipediaより引用)です。わかりやすく説明すると、長年使えるものは、その期間に応じてコストとして計上しましょうという考え方です。
具体例
例えば、会社が15億円の工場を建てたとしましょう。そして、その工場は15年使えるとします。
最初に工場を建てた年には、会社は15億円を建築会社に支払うことになります。
では、この費用はどのようにコストとして考えるのが妥当でしょうか。
15年間使える工場を建てたのならば、毎年1億円ずつその費用を負担して、工場を使っていると考えるのが実態に合うのではないでしょうか。
そこで、建築に支払っていない年も含めて、毎年1億円ずつ費用を計上します。これが、減価償却の考え方です。
土地の減価償却?
減価償却は、あくまでも一定期間のみ使えて、価値が目減りしていくものに対して適用されます。建物は古くなるにつれ価値が目減りしていき、やがて建て替えが必要になってしまいますが、土地はいくら使っても古くなったり劣化したりしません。なので、土地は減価償却されないということを理解しておきましょう。企業が土地を買ってそれを利用しても、「現金」という資産が「土地」という資産に変わるだけで、それを使っている間に費用として認識されることはありません。
ウォーレン・バフェットとビットコイン
ウォーレンバフェットは世界を代表する投資家ですが、バフェットはビットコインについてどう考えているのでしょうか。
まず、この動画では、バフェットのビットコインに対する考え方が簡潔に示されています。
まとめると、「いつ暴落が起こるかはわからないが、私は少なくとも5年間のビットコインのプットオプションがあれば、それを買いたい。(≒5年後には暴落すると考えている。)ただ、実際には私はトラブルに巻き込まれたくないから、実際にはトレードしようとも考えない。」という内容になります。バフェットはビットコインは長期的には価値が下落すると考えています。
バフェットの考える「投資」とは
ビットコインは「投資」ではないという考え方が根底にあります。その考え方は、下の動画で説明されています。
「投資とはビジネスを買うことだ。ただ価格変動をみるだけなら、それは投資ではない。ビットコインは、何かを生み出すアセットではない。」という趣旨のことが説明されています。コカ・コーラの株を買えば、コカ・コーラが生み出す利益を毎年手に入れることができます。ビジネスを買うというのは、将来にわたって生み出される利益を買うということです。これに対して、ビットコインは、それ自体が働いて利益を生み出すものではありません。だから、ビットコインを買ってもそれは投資とは言えない、とバフェットは考えているのです。
バフェットはなぜビットコインを空売りしないのか
では、なぜバフェットはビットコインを空売りしないのでしょうか。
バフェットは自分が完全に理解しないものには投資しないことで知られています。例えば、バフェットはテクノロジー銘柄には手を出しません。その考えのもと、バフェットは、「実際にはトレードしようとも考えない。」という趣旨のことを述べているのです。
なので、バフェットがわざわざ自分はビットコインを空売りしようとは思わない、といったのは、ビットコインが下がることに自信がないという理由ではないのです。
個人投資家が市場で勝つ方法
株式市場は、安い時に株を買って高いときに売ろうとする投資家たちがたくさんいる場所です。特に、機関投資家と呼ばれるプロの投資家は、個人投資家よりもたくさんの情報をもって分析して株を売買しています。そのような株式市場で、個人投資家が利益を上げるにはどうすればよいのでしょうか。
市場で勝つということ
効率的市場仮説について - 株式投資入門の記事でも解説しましたが、市場で勝つためには他の人よりも良い投資判断をしなければなりません。特に、機関投資家と呼ばれるプロの投資家は、仕事として投資をしているので多くの時間を分析に費やせますので、彼らよりも良い分析をするためには工夫をしなければなりません。
どうすればいいか
今回は、3つのアイデアを紹介します
・自分の専門分野で勝負する
たとえばあなたが家電業界で働いているとします。その場合、あなたは家電業界の流れについてほかの人よりも詳しい可能性があります。この会社は最近良い開発者がどんどん転職してきていて勢いがある、などの業界情報はその業界にいなければなかなか得られないものです。そのような情報は、投資を専門にやっている機関投資家よりも、あなたの方が詳しい可能性が高いです。そのような情報をいちはやくキャッチして投資しておけば、やがてそれが大きな流れになったときに、株価は大きく上がり、利益を出すことができるでしょう。
・まわりの流行に敏感になる
仕事などの専門分野でなくても、あなたがユーザーとして詳しいという分野でもよいでしょう。例えばあなたが20代の女性だとします。若い女性のファッションについては、若い女性の噂が一番信頼できます。最新のトレンドをいち早く見つけて、それを作っている、売っている会社に投資をするというのもよいでしょう。
・時価総額の小さい銘柄(小型株)で勝負する
機関投資家は、時価総額が小さい銘柄を調査しようとしません。なぜなら、機関投資家は、そのような株を買おうとすると、それだけで価格が上がってしまい、買いにくくなるからです。
詳しく説明します。そもそも「株価」はリアルタイムのオークションのような形式で決まります。市場には株を売りたい人と買いたい人がいて、高くても買いたい人がたくさんいれば株価は上がっていきます。機関投資家というのは、個人よりもたくさんのお金を運用しています。一方で、時価総額が小さい銘柄は金額ベースでの日々の取引量が小さいです。
そのような中で、機関投資家が時価総額の小さい銘柄を買おうとすると、自分が買い注文を出した影響だけで、株を売りたい人よりも、買いたい人が多い状態になってしまい状態になってしまい、株価は急騰してしまうのです。
そうすると、小型株は個人投資家だけが分析できる銘柄になり、個人でもチャンスが生まれるのです。
まとめ
あなたの得意分野で株を調べてみましょう。きっと良い投資ができるはずですし、興味のある分野なら調べることも面白いです。
効率的市場仮説について
今回は、すべての投資家を絶望させる「効率的市場仮説」について解説します。
効率的市場仮説とは
効率的市場仮説は、シカゴ大学の教授によって提唱された仮説で株価は現在知りうるすべての事情を反映しているという理論をいいます。つまり、ある会社に悪いニュースがあると、投資家はその事情を考慮して株を売り、株価が下がる。逆に良いニュースがあると株価はあがる。そして、会社の本質的な価値と株価がずれていた場合、株価が安ければ投資家が株を買って株価は上がるし、株価が高ければ投資家が株を売って株価は下がる。このように市場原理によって株価と会社の本質的な価値は一致するという理論をいいます。
投資家からみた効率的市場仮説
効率的市場仮説は、株で利益を得ようとする投資家にとってはきちんと考えなければならない問題です。なぜなら、この仮説が正しいとすれば、株価を予測することは不可能であり、すべての株式の売買は、「ギャンブル」になってしまうからです。
効率的市場仮説に対する反論
効率的市場仮説に対しては様々な反論がなされています。
まず、反論としてあげられるのは、市場は効率的でないということです。実際に、株を買う人は、全員が会社の将来の業績を厳密に予測して売買しているわけではありません。
また、実証的に反論する方法として、株価は特に新しいニュースが無くても日々変動しているということがあります。つまり、会社の本質的な価値は、日々それほど変わるわけではありません。それにもかかわらず、株価が日々変動しているということは、会社の価値よりも株価が割安になることもあれば、割高になることもあるということです。
まとめ
効率的市場仮説は、あくまでも実際の経済を「モデル化」した仮説なので、実際には投資のチャンスはあると考えてよいでしょう。しかし、「モデル化」もある程度実際の経済を説明するものであります。市場には安い時に買って高いときに売ろうとする投資家たちがたくさんいるのは事実なので、市場で儲けるためにはほかの投資家たちよりもなんらかの意味で優れた投資判断をしなければなりません。投資家としては、市場で勝つためには優れた投資判断をする必要があるという教訓として効率的市場仮説を考えておくとよいでしょう。
キャッシュフローと利益について
キャッシュフローと利益は、どちらもよく聞く言葉ですが、どう違うのでしょうか。
今回は、キャッシュフローと利益の違いについて解説したいと思います。
利益とは
一方で、利益とは、会社がその年にどれくらい良い業績をあげたか、どれだけ株主の価値、純資産を増やしたかというのを示すものです。
キャッシュフローとは
キャッシュフローとは、キャッシュ(=お金)のフロー(=流れ)という言葉の通り、お金の流れを表したものです。
イメージとしては、会社の通帳に振り込まれたお金と、会社の通帳から支払ったお金を考えて、通帳の数字が増えたか減ったかということです。
キャッシュフローと利益のズレ
基本的には、利益も増えるとキャッシュフローが増えることとなります。でも、利益とキャッシュフローは完全には一致しないし、会社によっては、全然違う数字になることもあります。これはなぜでしょうか。
答えは、利益というのが計算上の数字にすぎないということです。
例えば、会社がお客さんに物を売ったとします。でも、もし支払いが後払いだとすると、現金は入ってこないことになります。それでも、売買契約があった時点で、会社は売上を利益の元として計算します。この売上が、会計の基準日までにお客さんから振り込まれない場合、利益の計算では代金が含まれるけれど、キャッシュフロー上は代金が増えていないという状況になるのです。
また、利益とキャッシュフローが大きくずれる例としては、設備投資を上げることができます。会社が新しく工場を建てて建築会社にお金を支払った場合、キャッシュフロー上は大きなマイナスとなります。でも、利益というのは、会社がその年にどれくらい良い業績をあげたか、どれだけ資産を増やしたかというのを示すものです。たまたまその年に設備投資が必要だったからといって、その年だけ業績が悪かったということにはなりません。そこで、建てた工場は、「資産」として計上して、古くなっていった分だけ「減価償却」するという計算をするのです。
どちらを重視すべきか
利益は会社の資産の増加を示すもので、その年に設備投資をしたかどうかといった事情で大きく変化しないものなので、長年の会社の業績の推移について調べる上で、キャッシュフローよりも分析しやすい指標といえます。
もっとも、利益は、実際のお金の流れではなく、計算上の数字に過ぎないので、会社がもうかっているように見せかけることもできるのです。たとえば、会社がお客さんに物を売った後、お客さんのお金が無くなって払える見込みがなくなったとします。それでも、その売上は、利益の計算に使われてしまうのです。
一方で、キャッシュフローは実際のお金の流れなので、会社の経営陣がごまかすことは難しいです。なので、しっかりと会社について分析したいときには、利益だけでなくキャッシュフローにも注目するとよいでしょう。
バリュー投資とは?
バリュー投資とはなにか?
バリュー投資とは、簡単に言うと「割安な株を買う」ということです。では、割安、とはどういうことでしょうか。株式とは、会社の「所有権」です。(下の記事参照)
会社の所有権に対して、現在の株価が安ければ、「割安」と判断します。
会社の価値の判断方法
では、会社の所有権の価値はどのように判断するべきなのでしょうか。
大きく分けて二つの方法が考えられます。
まず、一つ目は、会社の資産に着目する方法です。会社は、工場、土地、現金などの資産を持っています。一方で、会社は、株式を発行する以外にも、銀行から借金をして資金を調達することがあります。これは負債と呼ばれます。
資産から、負債を引いたものが、株主に帰属する会社の価値なのです。
もう一つの方法が、会社の利益に着目する方法です。(本当は「キャッシュフロー」に着目しますが、とりあえず、「利益」としておきます。)
会社の生み出す利益は、株主のものです。会社が利益を生み出すと、それは配当や、株価の上昇といった形で、株主に還元されます。この将来生み出す利益を会社の価値と考える方法です。
割安度の判断指標
一つ目の方法による場合、PBR(株価純資産倍率)が良い指標となります。PBRは、株価を一株当たりの純資産で割ったもので、現在の株価は、会社の純資産から考えた会社の価値の何倍か、ということを表す指標です。
二つ目の方法による場合、よく使われる指標は、PER(株価収益率)というものです。PERは株価を一株当たりの純利益で割ったもので、今の株価は会社の何年分の利益か、という指標になります。また、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)という方法もありますが、またの機会に解説します。